先日ニュースで、愛知県の犬からエキノコックス症感染と報じられました。
道外では、北海道から来た人に確認された例はありますが、人以外で感染が見つかるのは2005年の埼玉県での犬に続き2例目ということです。
エキノコックスは北海道ではキタキツネの病気としてよく知られています。
道内では毎年10数名の患者が見つかっているそうですが、通常は道外ではあまり見られない病気でした。
エキノコックスという名前の寄生虫が主に肝臓に寄生しておこります。
動物の糞の中に混入したエキノコックスの卵を人間が口から摂取してしまうことにより感染します。卵は、それを摂取したヒトの体内で幼虫となり、おもに肝臓に寄生して発育・増殖し、深刻な肝障害を引き起こすことが知られています。
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自然界においてエキノコックスは主にキツネと野ネズミに寄生しています。
①成虫はキツネの腸に寄生して卵を産み、その卵が糞と一緒に排泄され、野ネズミが木の芽などの 食物とともに糞の中の卵を食べると、野ネズミの体内で幼虫となり肝臓に寄生します。
②この幼虫が寄生している野ネズミをキツネが食べると、キツネの腸内で幼虫が成虫になります。
通常、エキノコックスはキツネと野ネズミの間での関係の中で生きています。
また犬がキツネと同様にエキノコックスに感染した野ネズミを食べてしまったり、人間がエキノコッククスの卵に汚染された山菜や沢水を直接口にしたり、卵が付着した手指を介して感染して、野ネズミと同様にエキノコックスの幼虫が肝臓に寄生します。
人から人に感染したり、野ネズミから人に感染することはありません。
エキノコックスの卵の大きさは直径0.03mmほどで肉眼では見えませんが十分な加熱や水洗い(手洗い)で、感染を予防することができます。
ワンちゃんにはエキノコックスの駆虫薬もありますので、当院にご相談ください。